人に仕事を頼めない経営者がやっていること

独立したばかりの頃、自分は人に仕事を頼むことがほぼできていませんでした。クライアントからの依頼を全部自分で処理しようとして、毎日深夜まで作業していた。今思い返すと、その時間は本当にもったいなかったと感じます。

なぜ人に頼めなかったのか。理由を整理してみると、いくつかのパターンが見えてきました。

一つは、完璧さを求めすぎていたこと。自分がやればクオリティを保証できるけど、他の人がやると品質が落ちるんじゃないか。そういう不安が常にありました。実際に一度試しに誰かに頼んでみたら、期待通りいかず、かえって自分でやり直すはめになって「やっぱり自分でやるべきだ」という考えを強化してしまったんです。

もう一つは、仕事を分割する力がなかったこと。自分のやっていることを言語化して、他者に託すって実はすごく難しい作業なんです。自分の頭の中では当たり前のことが、説明しようとするとうまくいかない。そうなると「説明するのに時間がかかるなら、自分でやった方が早い」という判断に陥りやすい。

何が変わったのか

経営を続けていて気づいたのは、「人に頼めない」という状態は、実は自分の仕事のやり方に問題があるということです。完璧さの基準が曖昧だったり、プロセスが整理されていなかったり、そもそも仕事が細分化できていなかったり。人に頼めないのは相手のせいじゃなくて、自分の側の課題なんだと気づいた時、少しずつ変わり始めました。

今では、新しく誰かに仕事を頼む時は、まず自分のやり方を言葉にして、基準を明確にするところから始めます。その過程で、自分もやり方を整理できるし、その人も判断しやすくなる。時間がかかるように見えるけど、結果的に上手くいくことが多い。

それでも完璧を求めれば、自分でやった方が早いはずです。でも経営をしていく上では、完璧より「スピード」と「自分の時間」の方が圧倒的に大事だと学びました。自分にしかできない仕事に時間を使わなければ、ビジネスは成長しない。

人に仕事を頼めないというのは、経営者として大切なスキルが不足している状態だと思います。それは技術的なスキルじゃなくて、自分の思考や仕事のプロセスを整理して、他者に委ねる力です。自分もまだ完璧ではないけれど、その力を磨くことが経営者として成長することの一部なんだと感じています。