稼働が止まった日
2025年2月、電気工事の現場で足を滑らせて転落した。右膝の前十字靭帯が断裂し、半月板も傷んだ。手術後しばらくは車の運転はおろか、家の中を歩くことさえ難儀した。
工事現場に立てない期間、生活を支えたのは電気・消防設備工事の売上ではなかった。数年前に始めていたレンタルスペース事業、松戸で運営しているPierisの家賃収入だった。自分の体が動かなくても、部屋は使われ続け、お金は入り続けた。
このとき初めて、自分の経営の構造に気づいた。電気・消防設備工事は自分の体を動かして初めて成立する仕事だった。レンタルスペースは違った。仕組みが働いていた。一つでも仕組みがあったから、収入が完全に止まることはなかった。持っていなかったらと考えると、今でも背筋が冷たくなる。
一つでは足りないと気づいた
同時に、一つしかなかったことの心細さも味わった。もしレンタルスペースの需要が同じ時期に落ちていたら、頼れるものは何もなかった。一つの仕組みは命綱にはなるが、安心材料にはならない。
多くの経営者や個人事業主は、自分が動けば収入が生まれるという前提で日々を回している。その前提自体が悪いわけではない。ただ、それしか持っていないとしたら、いつか同じ壁に当たる可能性がある。私はたまたま一つの仕組みに救われただけで、次はそれすら足りないかもしれないと今は考えている。
労働に依存しない仕組みを増やす
リハビリの合間、現場に戻れない今だからこそと消防設備士の資格を取った。そして半年以上をかけて、ホームページ制作、LINE公式アカウントを使った業務のAI化という、体を使わずに成立する事業を新たに立ち上げた。今の株式会社Libistは、電気・消防設備工事・レンタルスペース・Web制作という三本の柱で成り立っている。
労働に依存しない収入の仕組みを作るというのは、遠くの理想論ではない。自分の体が止まった日に、何が自分を支えてくれるかという、経営としてごく現実的な問いだ。