「ITが得意な人」だけでは、なぜ足りないのか

先に、自分の話をします。

第1本目の記事で書いたとおり、僕はずっと「ITが苦手な経営者のデジタル担当」という看板を出していました。
そして、そこを少し言い換える形で、短い期間ですが「IT専門家」と名乗ってみたこともあります。

ただ、名乗ってすぐに違和感がありました。

ITが得意というのは、たしかに事実です。
予約システムを選んで入れる、Googleビジネスプロフィールを整える、HPを作る。そういう作業は自分でできます。
実際、自分のサロンでも全部やりました。

でも、道具を揃えただけでは、お客さまは増えませんでした。
集客が回り始めたのは、道具を揃えた後に、お客さまがたどり着くまでの動線そのものを並べ直してからです。

原因はだいたい、同じ場所にありました。
業務全体の流れ、お客さまの動線、人との関係性、お金の流れ。
こういう仕組みの「設計」を見ないまま、IT を足してしまうからです。

ITは、設計の上にのせて初めて武器になります。
これは、自分自身が「IT専門家」を短く名乗ってみて、はっきり感じたことでした。

「仕組みを一緒に作る人」がやること

では、何を売る人ならしっくり来るのか。
Pierisで自分がやっていたことを振り返ると、こういう順番に並んでいました。

  1. 自分の業務を、一つずつ見て、分解する
  2. どこを自動化するか、どこを誰かに渡すか、どこは自分に残すか、を決める
  3. 必要な道具(ITに限らない)を選んで、組み上げる
  4. 運用が回るまで、調整し続ける

ITは、3番目の「道具」の一つです。
場合によっては、紙の運用が一番効くこともあります。
LINEのグループだけで十分なこともあります。
道具より先に、設計があります。

この順番を自分の事業で繰り返してきて、気づいたことがあります。
同じことを、他の経営者の隣でもやれるのではないか。
ツールを導入する仕事ではなくて、ツールを導入する前と後を一緒に考える仕事。
自分はそれを「仕組みを一緒に作る人」と呼ぶことにしました。

仕組みは、道具を選ぶ前に決まっていた

振り返ると、どの場面でも、道具を選ぶ前に答えが出ていました。

動線を引き直した話

自分のサロンで、集客とリピートの流れを作り替えました。
HP、Googleビジネスプロフィール、予約システム、セラピストさんとの関係性。道具はいろいろ使いましたが、先に決めたのは「自分の労働時間を介さない並び」にすることでした。

どの道具を使うかは、その後の話です。

看板を書き直した話

libist.jp と ishibashikeita.jp という2つのサイトの言葉を、全部書き直しました。
「IT専門家」から「労働に頼らない仕組みづくりの実践者」へ。

何を売る人なのかが言葉になっていないと、必要としている人に届かない。
これもITの話ではなくて、設計の話でした。

関係性を設計し直した話

HP制作を「作って終わり」ではなく、「作った後も一緒に育てる」関係に変えました。
これは技術選定の話ではなくて、お客さまとの関係性そのものの設計です。

納品して終わるのではなく、運用が回り続ける状態を一緒に作っていく。月額制はそのための器でした。

どれも、道具を触る前に、並べ方を決めた。
その順番が、たぶん自分の仕事の軸です。

「ITが得意な人」から「仕組みを一緒に作る人」へ

「ITが得意な人」ではなく、「仕組みを一緒に作る人」。

ITは引き続き、道具として使います。
SaaSの選定、HP制作、データ集計、自動化。手は動かせます。
ただ、自分の事業を振り返って気づいたのは、道具を選ぶことよりも、どう並べるかを考える時間の方がずっと長かったということでした。

仕組みづくりは、書きながら見えてきた

3本続けて書いてきて、自分の中の言葉が少しずつ整ってきました。

第1本目で、「IT専門家を名乗るのをやめる」と書きました。
第2本目で、Pierisの仕組みの中身を3つに分解しました。
そして第3本目の今回、「仕組みを一緒に作る人」という言葉が、自分の役割として置けるようになりました。

看板を下ろした後、空白になる怖さは少しありました。
でも、その空白を埋めるための言葉が、書きながら一つずつ集まってきている感覚があります。

これからは、この言葉を起点に、誰と、どんな順番で、何を一緒に作っていくのか、を書いていきます。

NEXT

では、仕組みを一緒に作るとは、具体的にどんなプロセスで進めるのか。
次回(5月21日 木曜)は、最初の打ち合わせから形になるまでの流れを書きます。